出金できない。そう検索してここに来られたなら、先に書きます。
いま「出金するには手数料が必要」「税金を払えば引き出せる」と言われているなら、払わないでください。
国民生活センターが、同じ型の相談事例を公表しています。
SNSで見た広告からLINEグループに誘われ、指定された口座へ何度かに分けて振り込んだ方の事例です。
運用画面で確認すると6,000万円の利益が出ていたため出金を申し出たところ、出金手数料900万円と、海外の株式市場での税金1,300万円を支払わないと出金できないと言われたというものです。
SNSをきっかけとして、著名人を名乗ったり、つながりを示したりして投資を勧誘されたという消費者トラブルが急増しています。「○○(著名人)が主催する投資の勉強会」「○○(著名人)が投資のノウハウを教える」「○○(著名人)と知り合いで儲かる」などと勧誘し、投資名目で振込をしたものの、「追加費用を支払わないと出金できないと言われた」「相手と連絡が取れなくなった」などといった被害が発生しています。
国民生活センター「SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増-いったん振込してしまうと、被害回復が困難です!-」(2024年5月29日公表)
同センターは、出金するために税金や手数料等の支払いを要求され、請求どおり支払っても結局出金できなかったケースがあること、運営会社や運用の実態が確認できないことが多く、資金を取り戻すのは極めて困難であることを公表しています。
あわせて、同センターは取引の際に個人名義の口座を指定された場合は詐欺を疑い、決して振り込まないよう呼びかけています。
関根綾払ったのに出てこなかった、という記録が残っているわけです。なので、まず止まってください。ここが一番大事なので先に書きました。
この種の相談件数は、2021年度が52件、2022年度が170件、そして2023年度は1,629件。2022年度と比べて約9.6倍に急増しています。平均の契約購入金額も、2023年度は687万円と高額化しています。
つまり、型があるんです。あなたが特別に不注意だったわけではありません。
それにこの型、よくできてるんですよ。最初は無料で使わせて、画面の中で数字が増えていくのを見せる。増えてたら追加で入れますよね。
そして出金しようとした瞬間に、聞いていなかった条件が出てくる。ここまでが一続きの設計になっています。
その「聞いていなかった条件」が、スマリタでは案内ページに書かれています。
オフィシャル会員とは、これまでにご体験いただいた運用を、この先も継続的にご利用いただくための、正規会員制度です。単に継続してシステムを使うのではなく、出金申請コードが発行されますので、実際にご出金いただく事が可能となります。
スマリタ「有料オフィシャル会員」案内ページ
一方、広告にはこう書いてあります。


- 出金しようとする段になって、新しい条件が現れる
- 有料の会員になること、コードを発行してもらうこと
国民生活センターが記録している「出金するには手数料が必要」という言われ方と、置かれている位置が同じです。
私はネット広告の代理店に11年いました。広告を預かって、文言を整えて、審査に出す仕事です。弁護士ではないので代わりに交渉することはできませんが、広告と案内ページを読むのは本業だったので、そこは書けます。
- 広告に書かれていることを、一枚ずつ読む
- 出金までの経路を、業者自身の説明から追う
- 会社情報に何が書かれていて、何が書かれていないか
- 金融庁に登録があるかどうかを、あなた自身が確認する方法
- すでに払ってしまった場合、今日から数日でやること
お金が戻ると約束はしません。ただ、やることには順番があって、早いほうが可能性は上がります。
広告を1枚ずつ読んでいきます
ここからは、スマリタの広告を上から順に見ていきます。
前の職場でやっていたことと同じ作業です。預かった広告を開いて、文言をひとつずつ拾って、これは出せる・これは直してもらう、と分けていく。11年やりました。
「完全無料」ってなに?
広告の下のほうに、6つのバッジが並んでいます。


この「完全無料」が、導入で書いた会員案内と噛み合いません。あちらには、出金するには有料の「オフィシャル会員」になって出金申請コードを発行してもらう必要があると書かれています。
景品表示法は、実際よりも著しく有利だと一般消費者に誤認させる表示を禁じています。
「完全無料」と言い切りながら、お金を引き出す段で費用が必要になるなら、同じ画面に書いてもらわないと成り立ちません。
「高配当」とは??
同じバッジの列の最後にあります。
投資の広告で「高配当」と書くには、根拠が必要です。何パーセントなのか、いつの実績なのか、誰の運用結果なのか。この広告には、そのどれも書かれていません。
そして投資には元本が減る可能性があります。当たり前のことですが、この広告のどこにも書かれていません。私が審査していたら、ここは必ず差し戻していました。
なお、将来の利益が確実であるかのように説明されて契約した場合、消費者契約法によって契約を取り消せる場合があります。ただしこの判断は私の手に余るので、詳しくは消費生活センター(188)で聞いてください。
「No.1」が3つ並んでいます
別の画面に、こう書かれています。


ここが、この広告でいちばん分かりやすい問題点です。
誰が調べたのか、いつ調べたのか、何人に聞いたのか、どこにも書かれていません。
消費者庁は2024年9月、この種の表示について考え方を公表しています。顧客満足度No.1などのいわゆるNo.1表示は、その表示が合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合には、実際のものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認され、不当表示として景品表示法上問題となるというものです。



調査した機関の名前、調査期間、対象人数。ひとつも書いてないですね。撮っておきましょう。ちなみに、こういう表示の責任は調査会社ではなく広告主が負うことになっています。
「あなたが寝ている間も、自動で資産形成」
広告の一番上の文です。続いて「らくらく投資」。
そして下のバッジが、簡単操作・初心者OK・自動運用。
手間がかからないことを、繰り返し伝える作りになっています。5回か6回、言い方を変えて同じことを言っている。これは狙ってやっていることで、私も同じ手法を使ったことがあります。効くんですよ。
ただ、投資の広告として見ると、「増える」「らくである」しか書いていません。減る可能性の記載がない。
「運用資金15万円分贈呈」
期間限定キャンペーンとして、運用資金を15万円分プレゼントすると書かれています。
素朴な疑問なんですが、会ったこともない相手に、なぜ15万円配れるのでしょうか。
そして会員案内と並べて読むと、こう読めてしまいます。
この15万円は「体験」の段階の数字であって、引き出すには出金申請コードが必要なのではないか。
だとすると、贈呈されているのは金額ではなく、画面に表示される数字ということになります。
ここは私の読みなので、断定はしません。
ただ、確認する方法はあります。
その15万円が実際に出金できたかどうか。思い出してみてください。
この広告に書かれていないこと
最後に、書かれていないものを並べます。
広告を読む仕事では、書いてあることより書いていないことのほうが重要です。
- 元本が減る可能性
- 「高配当」の具体的な数字と、その根拠
- No.1表示の調査機関・調査期間・調査対象
- 出金に費用がかかること(広告の側には書かれていません)
- 運営会社が金融商品取引業の登録を受けているかどうか
最後の項目については、あなた自身で確認する方法があります。
次の章で書きます。
無料で始まって、有料で終わる
入り口は無料です。広告には「今すぐ無料で登録して」とあり、さらに運用資金を15万円分もらえると書いてあります。自分のお金を出さずに始められる、という案内ですね。
ただ、出口はそうではありません。
「ご体験いただいた運用」という言い方
会員案内の一文を、もう一度置きます。
オフィシャル会員とは、これまでにご体験いただいた運用を、この先も継続的にご利用いただくための、正規会員制度です。単に継続してシステムを使うのではなく、出金申請コードが発行されますので、実際にご出金いただく事が可能となります。
スマリタ「有料オフィシャル会員」案内ページ
「ご体験いただいた運用」。
この言葉を選んだのはスマリタです。登録してから会員になるまでの期間を、運用ではなく体験と呼んでいる。わたしが勝手にそう名づけたわけではありません。
体験と呼ぶなら、それは本番ではないということになります。では本番はどこから始まるのか。会員になってから、と読むのが自然でしょうね。
金額が、この案内には書かれていません
「正規会員制度」と書いてあります。「有料」であることも分かります。
ただ、わたしが見た案内の部分には、いくらかかるのかが書かれていませんでした。
これは広告の仕事をしていた感覚で言うと、かなり気になります。
価格は、書けるなら書くものです。書かない理由があるとすれば、先に金額を見せると人が減るからでしょうね。だから体験させて、数字が増えるのを見せて、それから金額を出す。順番の設計です。
もしあなたがすでに金額を提示されているなら、その数字を控えておいてください。広告の「完全無料」との差が、そのまま実際の負担額になります。
「出金申請」と「出金」は、同じではありません
ここが、この章でいちばんお伝えしたいところです。
会員案内の上のほうに、バッジが3つ並んでいます。そのうちの1つ。


「出金が無制限」とは書いていません。「出金申請が無制限」と書いてあります。
申請は、いつでも何度でもできる。そう読める書き方です。ただ、申請すれば出金される、とはどこにも書いていません。
そして出金申請コードを発行するのは、あなたではなく相手です。



ここ、撮っておいてください。「出金申請」なんですよ。申請と、実行は別です。こういう一語の差は、審査を続けていると引っかかるようになります。というより、こういう書き方をする人は、たいてい分かってやっています。
つまり出金できるかどうかを決めるのは、会員になったあとも相手側ということになります。コードを出すか出さないかが、向こうの手にあるので。
「最短翌日」「一切縛り無し」「トラブル無しの信頼実績」。バッジには頼もしいことが書いてあります。ただそのどれも、申請したあとに何が起きるかを約束した文章ではありません。
公的機関が記録している型と、位置が同じです
導入で紹介した国民生活センターの事例を思い出してください。運用画面では利益が出ていた。出金を申し出た。そこで出金手数料と税金の支払いを求められた。
出金しようとした瞬間に、聞いていなかった費用が現れる。
同センターは、出金するために税金や手数料等の支払いを要求され、請求どおり支払っても結局出金できなかったケースがあることを公表しています。
スマリタの場合、それが「有料会員制度」という名前で、あらかじめページに書かれています。そこは違います。書いてある分だけ、丁寧といえば丁寧なんですよね。
ただ、出金しようとした人に費用が生じ、出金の可否が相手の手にあるという点では、置かれている位置が同じです。
いま思い出してほしい、3つのこと
手元の履歴を見ながら、順番に確認してみてください。
- 会員費は、いくらと言われましたか。
-
金額と、それを伝えられた日付。この2つを控えておいてください。
- 振込先の口座は、個人の名前でしたか。
-
国民生活センターは、取引の際に個人名義の口座を指定された場合は詐欺を疑い、決して振り込まないよう呼びかけています。すでに振り込んでしまった方も、**その口座名義は重要な記録です。**消さないでください。
- 会員になったあと、実際に出金できましたか。
-
できなかった場合、次に何を求められたか。そのやりとりの文面が残っていれば、それがいちばん強い記録になります。
会社のことが、ほとんど書かれていません
次は、運営している会社を見ます。
なぜここを見るのかというと、何かあったときに「誰に」「どこへ」言えばいいのかを決めるのは、この情報だからです。**お金が絡む話で、相手が特定できないというのは、かなり厳しい状況になります。
スマリタの特定商取引法に基づく表記には、こう書かれていました。
| 運営事業者 | TSLC |
| 運営統括責任者 | Madoka Mikami |
| 所在地 | 1717 Pennsylvania Avenue, 10th Floor, NW, Washington, D.C. 20006 |
| 電話番号 | 記載なし |
| メールアドレス | [email protected] |
| サービス名 | 記載なし |
「記載なし」が2つあります。ここから見ていきますね。
電話番号の欄が、空白です
消費者庁は、通信販売の広告について、事業者の氏名・住所・電話番号を表示しなければならないと説明しています。
そして電話番号については、こう書かれています。確実に連絡を取れる番号を表示することが必要であり、使われていない番号を載せている場合はもちろん、使える番号を載せていても事業者が意図的に常に電話を取らない状態にしている場合なども、確実に連絡が取れる番号を表示したことにはならない、と。
念のため補足しておくと、例外もあります。消費者から請求があれば遅滞なく情報を提供する、という旨を広告に書いていて、実際にすぐ提供できる体制がある場合には、住所と電話番号の表示を省略できることになっています。
なので、そういう一文が書かれていたかどうかを確認してみてください。なかった場合、電話番号の欄が空いていることの説明がつかなくなります。



空欄って、いちばん撮っておいてほしいところなんですよ。書かれていることは後から直せますけど、「その日、そこに何も書かれていなかった」という記録は、あとから作れないので。
「TSLC」とは、どこの会社なのでしょう
事業者名が「TSLC」と4文字だけ書かれています。
消費者庁の同じ説明の中に、事業者名についての記述があります。
法人の場合は登記簿上の名称を記載する必要があり、通称や屋号、サイト名は認められない、と。
「TSLC」は、正式な社名でしょうか。それとも略称でしょうか。どちらなのかが、この表記からは分かりません。そしてどの国で登記された法人なのかも書かれていません。
正式名称が分からないと、その会社を調べることができません。登記を確認することも、過去に何かあったかを調べることもできない。名前が短いだけで、これだけのことが分からなくなります。
住所は、ワシントンD.C.です
所在地は、アメリカのワシントンD.C.。ペンシルベニア通り1717番地の10階と書かれています。
消費者庁は、住所については現に活動している住所を正確に表示する必要があると説明しています。
さて、この住所に本当にオフィスがあるのか。10階のどの部屋なのか。日本に住んでいる私たちには、確かめようがありません。
もちろん、海外に本拠がある会社は普通に存在します。それ自体が悪いことではありません。
ただ、日本語のページで、日本に住んでいる人に向けて、日本円を出させているという事実は残ります。何かあったときに、どこへ何を言えばいいのか。この住所は、その答えになっていません。
メールアドレスについて
気になる点が2つあります。
ひとつは、スマリタというサービス名がどこにも入っていないこと。会社名のTSLCも入っていません。このサービスのために用意されたアドレスなのか、別の用途と兼用なのか、分かりません。
もうひとつは、ドメインに 「line」という文字が入っていることです。念のため書いておきますが、LINE株式会社とは何の関係もありません。ただ、LINEでやりとりをしていた方が、このアドレスを見て「LINEの正式なものかな」と受け取る余地はあると思います。
確認する手段が、閉じています
ここまでを並べると、こうなります。
会社の正式名称が分からない。所在地は日本から確認できない国にある。そして、確認するための電話番号が書かれていない。
住所を確かめたいけれど遠い。だから電話で聞きたい。その電話番号がない。



こういうのを、広告の仕事では「連絡先がない」と言って差し戻します。理由は単純で、後で連絡が取れないと、いちばん困るのは買った人だからです。
書かれていないことばかりの章になりました。でも、書かれていないことは、それ自体が情報です。
会社を特定する材料が揃わない相手に対しては、あなた個人が交渉するのは現実的ではありません。だからこそ、次の章の確認作業をやっておいてほしいんです。
登録があるかどうかは、あなたが確かめられます
前の章では、会社のことがほとんど分からないという話をしました。名前も住所も、確かめる手立てがない。
ただ、ひとつだけ、こちらから調べられることがあります。しかも無料で、5分あれば終わります。
投資を勧めるには、国の登録が必要です
金融庁が、はっきり書いています。
海外所在業者であったとしても、日本の居住者のために又は日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合は、金融商品取引業の登録(日本の「金融商品取引法」に基づく登録)が必要です。日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは、禁止されています。(違反者は罰則の対象となります。)
金融庁「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」
会社が海外にあっても、免除されません。日本に住んでいる人からお金を集めて運用するなら、日本の登録が必要になる。そういう決まりです。
財務局が、この形を説明しています
関東財務局のページに、こういう記述があります。
登録を受けていない海外所在業者が、インターネットに日本語のホームページを開設するなどして、FX取引や暗号資産を用いた証拠金取引、有価証券投資などの勧誘を行っている例が見受けられる。そして海外の無登録業者との取引において、返金がされない、連絡がつかなくなるなど、詐欺的な投資勧誘が多発している、と。
株式や社債、ファンド等の取引に関し、高齢者を中心に無登録業者とのトラブルが多発しています。
また、SNSをきっかけとした勧誘が増加しており、学生も含め幅広い年代において注意が必要です。
登録の有無について確認できますので、不審に思ったら、一人で悩まず、すぐに下記問い合わせ先へご相談ください。
財務省 関東財務局「無登録で金融商品取引業等を行う者について」
海外に所在している。日本語のページを開いている。勧めているのは投資。
スマリタの条件と、並べてみてください。
調べ方は、2つあります
では実際に確認してみましょう。順番に書きますね。
ひとつめ。金融庁の一括検索を使う方法。
金融庁が2026年1月に「金融事業者一括検索機能」の運用を始めました。名称や電話番号などを入力するだけで、登録を受けている業者かどうかを検索できます。
金融庁自身が、無登録業者による詐欺的な投資勧誘の被害から身を守るため、取引の相手が登録を受けている事業者かどうかを確認する際に活用してほしい、と案内しています。
ここに「TSLC」と入れてみてください。それだけです。
ふたつめ。一覧を直接見る方法。
金融庁は「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」を業種ごとに公開しています。投資の話なら「金融商品取引業者」のファイルを開いてください。
パソコンならCtrlキーとFキーを同時に押すと検索窓が開きます。
そして、ここが大事なところなんですが。金融庁はアルファベット表記の業者については、全角と半角の両方で検索してくださいと注意書きをしています。



ここ、見落としがちなんですよ。「TSLC」で出てこなくても、全角の「TSLC」だと出てくることがある。逆も同じです。両方やってください。せっかく調べるので。
警告のリストも見ておいてください
もうひとつ、金融庁は無登録で金融商品取引業を行っているとして警告書を出した業者の名称を公開しています。国内の業者と、海外所在の業者で分かれています。
ただし、ここは正直に書いておきます。このリストに載っていないからといって、問題がないという意味にはなりません。
金融庁自身が、こう注記しています。掲載されているのは警告書を出した時点で無登録営業を行っていると確認できた業者に限られるため、掲載されていない者であっても、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得る、と。
つまり、載っていれば黒に近い。載っていなくても白ではない。そういう性質のリストです。
名前が出てこなかったら、それは記録になります
検索して、どこにも名前がなかったとします。
そのとき私が「だから詐欺です」と書くことはしません。そこはわたしの領分ではないので。
でも、こう言えます。**日本に住んでいるあなたに投資を勧めていた会社について、登録の確認が取れなかった。**これは事実です。そして金融庁は、登録を受けずに金融商品取引業を行うことは禁止されており、違反者は罰則の対象になると説明しています。
その2つを並べて、次にどうするかを決めるのは、あなたと、あなたが相談する弁護士や司法書士です。
だから検索結果の画面も、撮っておいてください。「その日、その名前で調べて、出てこなかった」という記録になります。あとから作れないものなので。



5分の作業ですけど、これがあると相談に行ったときの話が全然ちがいます。「登録がないみたいなんです」と言えるのと、「よく分からないんです」と言うのとでは、聞かれることの量が変わってくるので。
すでに払ってしまった方へ、今日できること
ここから先は、読むだけでなく手を動かす話になります。
順番があります。早いほうが結果が変わるものから並べます。
最初に思い出してほしいのは、何で払ったか
銀行振込か、クレジットカードか、暗号資産か。
これによって、連絡する先も、残された時間もまったく違います。まずここを確定させてください。
銀行振込だった場合。これは今日です
振り込みで払った方は、今日のうちに警察と金融機関に連絡してください。明日ではなく今日です。
理由は後で書きます。
日本には「振り込め詐欺救済法」という法律があります。正式には長い名前なんですが、要するに犯罪に使われた疑いのある口座を凍結して、残っているお金を被害者に分配するという仕組みです。
対象になる犯罪について、金融庁がこう説明しています。オレオレ詐欺や架空請求詐欺などのほか、SNS型投資・ロマンス詐欺等のうち、預金口座等への振込みが利用された場合が該当する、と。
そして、これが今日である理由です。
金融庁のQ&Aに、こう書かれています。振り込んだお金が一部引き出されている場合には、被害者への分配金は振込額に応じて減額される。
つまり、口座にお金が残っているうちに凍結できるかどうかで、戻ってくる額が変わります。相手が引き出してしまえば、その分は消えます。



ここだけは、記事を読み終わる前に動いてもらってもいいです。銀行の窓口でもコールセンターでもいいので、「詐欺の疑いがある口座に振り込んでしまった」と伝えてください。振込日と金額と、相手の口座番号が分かれば話が進みます。
振込先が個人名義の口座だったという方も、対象から外れるわけではありません。むしろ、その口座名義は重要な情報です。控えておいてください。
クレジットカードだった場合
カード会社に電話してください。こちらも早いほうがいいです。
伝えることは、「不正利用ではないが、契約したサービスが提供されないので、支払いを止めたい」という趣旨です。
支払い方法が分割払いやリボ払いになっている場合、販売業者との間に問題があるときに支払いを止められる仕組みが法律で用意されています。一括払いの場合も、カード会社を通じて売上を取り消す手続きの相談ができることがあります。
どちらに当てはまるか、条件を満たすかどうかは、契約の内容によって変わります。ここは私が判断できるところではないので、カード会社に「どの手続きが使えますか」と直接聞いてください。そのほうが早いです。
ひとつだけ。この手の手続きには期限があります。取引からの日数で切られることが多いので、迷っている時間がいちばん損になります。
暗号資産や電子マネーだった場合
正直に書きます。この場合、お金が戻る可能性はかなり低くなります。
ただ、やることはあります。
送金先のアドレス、送金日時、金額。この3点を記録して残してください。取引所を通していた場合は、その取引所に連絡してください。そして警察に届け出てください。
戻らない可能性が高いと分かっていても、届け出た記録があるかどうかは、あとで意味を持つことがあります。
同じ相手について複数の届出が集まれば、動きが変わることもあるので。
「返金できます」という連絡には、乗らないでください
最後に、これだけは書いておきます。
このあと、あなたのところに「未払い分を返金します」「補償の手続きをします」という連絡が来ることがあります。業者側からのメールやLINE、あるいは知らない番号からの電話で。
乗らないでください。
理由は単純です。あなたが登録した情報を持っているのは誰か、という話なんですよね。連絡先を知っていて、いくら払ったかを知っていて、そして今あなたが困っていることを知っている相手。
そういう相手から届く「返金します」に、手数料や保証金の前払いがついてくるなら、それは出金のときと同じ形です。



一度払った人には、もう一度払ってもらうほうが早い。相手の側から見ると、そういう計算になります。いやな話ですけど、そこは冷めた目で見てください。
返金の相談は、あなたのほうから、公的な窓口か弁護士・司法書士に対して持ちかけてください。向こうから来た話には乗らない。この順番だけ守ってもらえれば、二度目は避けられます。
弁護士・司法書士に持っていく前に、揃えておくもの
さて、ここが私の担当分です。
交渉はできません。返金の手続きを代わりにやることもできません。でも、持っていく前の荷造りなら手伝えます。
事務所や窓口に相談に行くとき、資料が揃っている人と、そうでない人がいます。
揃っていない人は、まず「思い出す作業」から始まります。それに時間を使うと、肝心な相談の時間が短くなる。それだけの話なんですが、けっこう差が出ます。
撮っておくもの
これまでの章で「撮ってください」と書いてきたものを、まとめます。
サイトが消えると、証拠も消えます。今日撮ってください。
- 広告の画面(「完全無料」「高配当」「No.1」のバッジが写っている状態で)
- オフィシャル会員の案内ページ全体
- 特定商取引法に基づく表記のページ全体
- あなたの運用画面(利益の数字が出ているところ)
- 出金を申請した画面、または申請した記録
- 出金を断られた、または条件を求められたときのやりとり
- 金融庁のサイトで検索した結果の画面
撮り方のコツが2つあります。
画面の上のURLが写るように撮ってください。スマホなら、URLバーを含めた全体を撮る。切り抜くと「どこのページか」が証明できなくなります。
日付が分かるようにしてください。撮影日時が残る形で保存する。それだけです。



「あとで撮ろう」がいちばん危ないです。この手のサイトは、ある日いきなり消えます。私が広告を通してしまった会社も、そうやって消えました。今日、全部撮ってください。
集めておくもの
- 振込明細、またはクレジットカードの利用明細
- 振込先の口座情報(銀行名・支店・口座番号・名義)
- LINEやメールのやりとり(消さないでください。全部です)
- 登録に使ったメールアドレスと、届いたメールの一式
- 相手から送られてきたファイル、PDF、画像
時系列のメモをつくってください
これがいちばん効きます。そして、いちばん面倒です。
紙でもスマホのメモでも構いません。日付、相手、何が起きたか。この3つだけを、上から順に並べてください。
例)
◯月◯日 広告を見て登録
◯月◯日 運用が始まる。画面に15万円と表示
◯月◯日 LINEで◯◯さんから連絡。追加入金を案内される
◯月◯日 ◯◯銀行 ◯◯名義の口座へ ◯万円振込
◯月◯日 画面上の残高が◯◯万円になる
◯月◯日 出金を申請
◯月◯日 オフィシャル会員(◯万円)が必要と案内される
◯月◯日 ◯万円を支払う
◯月◯日 出金されない。問い合わせるが返信なし
思い出せない日付は、空けておいて構いません。LINEやメールの日付から埋められることが多いので、あとから足せます。
このメモがあると、相談を受ける側が最初に知りたいことが、ほぼ全部そこに入っています。



事務の仕事をしていて思ったんですけど、話がうまい人より、資料が揃っている人のほうが強いんですよ。順番に並んだ紙が一枚あるだけで、聞き取りの手間が半分になります。
どこに相談するか
相談先はいくつかあります。役割が違うので、分けて書きます。
- 消費生活センター(消費者ホットライン 188)
-
まずここでいいと思います。無料です。似た相談を大量に受けている場所なので、あなたのケースがどういう型かをすぐ判断してくれます。次にどこへ行くべきかも教えてもらえます。
- 警察(警察相談専用電話 #9110、または最寄りの警察署)
-
振込で払った方は、口座凍結のために必要です。前の章で書いたとおり、ここは急いでください。
- カード会社
-
カード払いの方。手続きの期限があるので早めに。
- 弁護士・司法書士
-
金額が大きい場合、あるいは相手方に対して具体的な手続きを取る段階になった場合です。先に消費生活センターで整理してから行くほうが、費用も時間も無駄になりません。
相談する前に、やらないでほしいこと
相手に感情的な連絡をしない。
気持ちは分かります。
ただ、こちらが何を知っているかを相手に伝えることになるので、資料を隠されたり、アカウントを消されたりします。連絡するとしても、記録が残る形で、事実だけを書いてください。
やりとりを消さない。
見返すのがつらくて消してしまう方がいます。それがいちばん惜しいです。フォルダに入れて、見ないようにするだけでいいので、残してください。
追加でお金を払わない。
何度目かになりますが、書いておきます。出金のためでも、税金のためでも、返金手続きのためでも。払わないでください。
置き書きを閉じます
最初に戻ります。


「完全無料」広告に、そう書いてありました。
そしてもうひとつ。


「出金申請コードが発行されますので、実際にご出金いただく事が可能となります。」
この2つが、同じサービスの中に並んでいました。
私がこの記事でやったのは、それだけです。スマリタが書いた文章を並べ替えて、金融庁と消費者庁と国民生活センターが公表しているものを横に置いた。新しい情報は、ひとつも足していません。
それでも、こうして並べると見えてくるものがあります。
無料で始まって、有料で終わる。「出金」ではなく「出金申請」が無制限。「No.1」に調査した人の名前がない。会社の正式名称が分からず、住所は遠く、確かめるための電話番号が書かれていない。
書かれていないものが、ずいぶん多いページでした。
私は11年、その作り方をする側にいました。だから断言できます。**あれは効くように作られています。**そして私自身、自分の決裁で通してしまったものがあります。人のことを言えた立場ではないんですよね。
長い記事になってしまったので、最後に絞ります。やることは3つだけです。
追加で払わない。出金のためでも、税金のためでも、返金手続きのためでも。
振込で払ったなら、今日、警察と銀行に連絡する。**口座にお金が残っているかどうかで、戻る額が変わります。
画面を撮って、日付順に並べる。サイトはいつか消えます。消えたあとに撮ることはできません。
全部やらなくても、上から順にひとつずつで構いません。
置き書きというのは、去っていった人が残していったメモのことです。スマリタが残していったのは、「完全無料」という6文字と、「出金申請」という4文字でした。それをここに書き留めておきます。次に同じページを開いた誰かが、払う前に気づけるように。
そしてもうひとつ。あなたはもう、この形を知っています。
これから同じ作りのものに出会ったとき、たぶん最初に「出金のところに何が書いてあるか」を見ると思います。高い授業料でしたが、二度目はありません。
なんの慰めにもならないかもしれませんが、私はそれを、けっこう大きなことだと思っています。


関根綾
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