月にいくら入るかは、書いてありました。
いくら払うことになるかは、書いてありませんでした。
株式会社スキルペイという会社が案内している副業の話です。SNSの広告から公式サイトに入って、登録すると、仕事の内容を説明しますという趣旨の電話がかかってくる。費用の金額が出てくるのはその電話の中からだ、という情報があります。
広告を作る側にいたころ、価格をどこに置くかという話は毎回もめました。書けば離脱が増えるので、営業は書きたがらない。でも書かないと審査で止まることがある。だから小さい字にしたり、総額を月々に割ったり、いろいろやるわけです。
文字にせず、口で言う。あれはその中でいちばん徹底したやり方なんですよね。
文字にすると、2つのことが起きます。
読んだ人が、他と比べ始めること。
そして、あとから記録が残ること。
口で言えば、どちらも起きません。
関根綾すでに金額を言われた方へ。その金額と、言われた日付を、いまメモしてください。あとで必ず使います。
この案件で何が起きているのか
SNSで広告を見て、登録した。
しばらくして、電話がかかってきた。仕事の内容を説明します、という趣旨だったと思います。
そしてその電話の中で、金額が出た。
ここまでが同じだという方に向けて、この先を書きます。
まず、登録から電話までに間があったこと。
あれは処理が追いつかなかったわけではありません。登録直後に電話をかけると、まだ「見ているだけ」の状態なんですよね。読んで、待って、少し期待が育ったところにかける。順番として設計されています。
次に、電話の名目が「仕事の説明」だったこと。
これは断りにくい名目なんですよ。費用の説明ですと言われたら、身構えます。売り込みだと分かるので。でも仕事の説明なら、聞かない理由がない。自分が申し込んだものの続きなので。
そうやって通話が始まって、説明が進んで、最後のほうで金額が出ます。
順番が逆だったら、と考えてみてください。最初に金額を言われて、そのあとに仕事の説明。同じ情報量なのに、たぶんあなたは途中で切っています。



断れなかったのは、断りにくい形で来たからです。
そして電話には、もうひとつ性質があります。
文字が残らないこと。
言われた金額も、そのとき何と説明されたかも、通話が終わればあなたの記憶の中だけになります。あとで「そんなことは言っていない」と言われたときに、突き合わせるものがありません。
だから、この記事で最初にお願いしたのがメモでした。
金額と、言われた日付。まだの方は、いま書いてください。思い出せる範囲で、言われた内容も。完璧でなくていいです。日付が入っているだけで、後から意味を持ちます。



LINEやメールのやりとりは、この時点で全部保存を。
広告を、1枚ずつ読みます
ここからは、実物を読みます。
まず、数字の置き方から。


月+20万円を目指せる!?
この一行は、よくできています。私は感心しました。
「月20万円稼げます」と書けば、優良誤認をまっすぐ問われます。根拠を出せと言われて、出せなければ終わりです。だから誰もそうは書きません。
そこで最初の逃げが「目指せる」です。目指すのは本人なので、稼げなかったのはあなたが目指さなかったからだ、という形にできます。主語を読者に付け替える言葉なんですよね。
そのうえで、さらに「!?」が付いています。
疑問符です。断定していない、と主張できます。
つまりこの一行は、数字を見せておいて、その数字について何ひとつ約束していない。「月」「+20万円」という具体で目を引いて、「目指せる」で主体をずらして、「!?」で断定を外す。三段構えです。
小さい字の但し書きで逃げる広告なら、私は何百本も見てきました。それは打消し表示の問題として整理されているので、指摘もしやすい。でもこれは、キャッチコピーそのものに逃げ道を織り込んであります。但し書きが要らない構造にしてあるんですよ。
常習的なように感じます。少なくとも、はじめて作った人の書き方ではありません。



広告は差し替えられます。手元に残っていない方は、いま検索して保存を。
次に、簡単さの訴求です。


- 「スキマ時間で」
- 「スマホでかんたん操作」
この2つが、大きな文字の周りに配置されています。
作る側の言い方をすると、これは除外されない言葉です。
「動画編集」と書けば編集ソフトを触れない人が落ちます。「せどり」と書けば在庫を持ちたくない人が落ちます。作業内容というのは、書くほど読者が減る情報なんですよね。
だから、誰も自分を除外しない言葉を置きます。スキマ時間なら忙しい人も残る。スマホでかんたんなら、パソコンが苦手な人も残る。
残す設計です。選んでもらう設計ではありません。
そして、どちらにも根拠がありません。スキマ時間が1日何分なのか、かんたんな操作というのが何の操作なのか、どこにも書かれていないので。
そして2枚目。ここがいちばん引っかかりました。
2枚目の広告は、質問の形式になっています。
「何をする副業なの?」
いい問いです。読者がいちばん知りたいことなので。
答えがこれです。
「簡単な内容のスマホを使用したお仕事です」
何をするのかは、書かれていません。
もう一度疑問符が繰り返されます
「報酬の仕組みは?」→「PRした内容に応じて、企業から報酬が発生する仕組みです。」
「PR」という単語だけが、この広告に出てくる唯一の具体です。
何をPRするのか。どの企業なのか。1件いくらなのか。報酬が発生する条件は何なのか。全部ありません。「PRした内容に応じて」の「応じて」が、その全部を引き受けています。
これも通したことがあります。書類は揃っていたんですよ。特商法の表記も、登記も、根拠資料も。形式としてはどこにも穴がなくて、だから私は決裁を切りました。あのとき私が見ていたのは、書類が揃っているかどうかであって、問いに答えているかどうかではありませんでした。



読んで分からなかったのは、あなたのせいではありません。
質問の形式には、効果があります。
問いを立てると、読んだ人は「答えてもらった」と感じるんですよ。内容が空でも、形式が満たされていれば、処理としては完了します。疑問が解消されたわけではなく、疑問が回収された状態になる。
そのうえで電話がかかってくる。まだ何も分かっていないのに、分からないという自覚だけが薄れた状態で。
この広告に書かれていないことを、並べておきます。
- 具体的な作業内容
- 報酬が発生する条件と、1件あたりの金額
- PRの相手先となる企業
- 費用がかかるという記載
- 費用の金額
- 成果には個人差があるという注記
- 収入を得られなかった人がいるかどうか
広告を読む仕事では、書いてあることより書いていないことのほうが重要です。この2枚には、あなたがお金を払う側になるという情報が、どこにも入っていません。
会社のことを、記録から読む
広告の話はここまでにして、会社の話をします。
株式会社スキルペイは、国税庁の法人番号公表サイトに載っています。実在する法人です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社スキルペイ |
| 法人番号 | 8040001140668 |
| 設立 | 2025年10月 |
| 本店所在地 | 東京都新宿区西新宿3丁目3番13号 西新宿水間ビル2F |
| 所在地の変更 | 2回(直近は2026年2月) |
| 運営統括責任者 | 帯金優希 |
| 電話番号 | 03-6821-6405 |
| メールアドレス | [email protected] |
先に、公平なことから書きます。
特定商取引法に基づく表記に、必要な項目は入っています。事業者名も、責任者の氏名も、所在地も、電話番号もある。連絡先を伏せている事業者と比べれば、こちらのほうが記載としては丁寧です。
電話番号も03から始まる固定回線です。携帯番号だけ、あるいはIP電話だけを載せているところは珍しくないので、ここも同じです。
設立が新しいこと自体も、何の問題でもありません。私が担当していた広告主にも、設立半年の会社はいくらでもありました。所在地の変更も同じです。人が増えた、手狭になった、条件のいい物件が出た。よくある話ですし、それ自体を問題にするつもりはありません。
そのうえで、記録として残っている事実を書きます。
設立から1年経っていない会社が、その間に所在地を2回変えています。



この画面は、いま保存してください。登記は変わります。
これをどう読むかは、私が決めることではありません。
ただ、ひとつだけ。
広告を審査していたころ、私は所在地を調べていました。実在するか、それから、いつからそこにいるか。後者を見るようになったのは、途中からです。書類に不備がなくても、住所だけが動く広告主というのがいて。
その経験から言えることは、住所が動くこと自体は判断材料にならない、ということです。動く会社はいくらでもあります。私が見ていたのは、住所と、事業の中身と、時期が、噛み合っているかどうかでした。
あなたが今、何かを検討している、あるいはすでに支払っているのなら、相手の会社がいつからそこにいるのかは、知っておいていい情報だと思います。
判断はあなたのものです。材料だけ置いておきます。
もうひとつ、メールアドレスについて。
ドメインが skillpay00.info です。会社名に数字が2つ付いています。
これも、それ自体は何でもありません。取りたいドメインが埋まっていて数字を足す、というのは普通にあることなので。ただ、記載として残っているので書いておきます。
会社のことを、記録から読む
広告の話はここまでにして、会社の話をします。
まず、この記事が扱っている会社を特定しておきます。
法人番号8040001140668。
これを最初に書いたのには理由があって、後で分かります。
先に、公平なことから。
特定商取引法に基づく表記に、必要な項目は入っています。事業者名も、責任者の氏名も、所在地も、電話番号もある。連絡先を伏せている事業者と比べれば、記載としては丁寧です。電話番号も03から始まる固定回線でした。携帯番号だけを載せているところは珍しくないので、ここも同じです。
設立が新しいこと自体も、何の問題でもありません。私が担当していた広告主にも、設立半年の会社はいくらでもいました。
そして、**商号を変えることも、本店を移すことも、それ自体はまったく普通のことです。**事業の方向が変わった、社名がしっくりこなくなった、人が増えて手狭になった。よくある話です。それ自体を問題にするつもりはありません。
そのうえで、国税庁の法人番号公表サイトに記録されている事実を、日付順に並べます。


現在、この法人番号で登記されている商号は、株式会社ライフです。
株式会社スキルペイという商号は、2026年6月5日をもって旧情報になっています。



契約書に「株式会社スキルペイ」と書いてある方。その書面は、いま撮っておいてください。
ここで、冒頭に法人番号を書いた理由です。
「株式会社ライフ」という商号の会社は、日本にたくさんあります。まったく無関係な、まっとうな会社がいくつもあります。名前が同じというだけの会社に、この記事の話が及ぶことは絶対にあってはならないので、この記事が扱っているのは法人番号8040001140668の1社であるということを、はっきり書いておきます。
商号で検索しないでください。法人番号で検索してください。
設立から1年経っていない会社が、その間に本店を移し、商号を変えています。
これをどう読むかは、私が決めることではありません。
ただ、ひとつだけ書いておきます。
広告を審査していたころ、私は所在地を見ていました。実在するか、それから、いつからそこにいるか。後者を見るようになったのは途中からです。書類に不備がなくても、住所だけが動く広告主というのがいて。
そのころ上の人に言われたことを、まだ覚えています。「社名と住所は、会社の顔じゃなくて履歴書だから」と。顔は作れるけれど、履歴は残る、という話でした。
登記は、そういうものです。変えることはできますが、変えた記録は消えません。



あなたが契約した相手が、いまどうなっているか。それは調べられます。
そして、確認していただきたいことがあります。
あなたの手元にある契約書、申込みの控え、振込の記録。そこに書かれている社名は、どちらですか。
株式会社スキルペイと書いてあるなら、その書面は2026年6月5日より前のものである可能性が高いです。日付を確認してください。
もし、6月5日より後の日付なのに株式会社スキルペイと書かれている場合。その書面は、登記上の商号と違う名前で作られていることになります。これは、窓口に持っていくときに必ず伝えてください。
同じことが、いま公開されている特定商取引法に基づく表記にも言えます。



特商法のページを開いて、事業者名の欄を見てください。そこは、いまどちらになっていますか。
消費者庁が公表している型と、並べてみます
ここからは、公的機関が公表しているものを見ます。
先にはっきりさせておきますが、これから紹介する注意喚起で名前を挙げられているのは、株式会社スキルペイではありません。まったく別の事業者です。ここを混同しないでください。
それでも並べるのは、行政が「こういう形に気をつけてください」と公表している型があるからです。その型と、あなたに起きたことが似ているかどうか。それを見ていただきたいだけです。
消費者庁が令和7年6月26日に、「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」を公表しています。
名指しされているのは株式会社和という事業者です。株式会社スキルペイではありません。
消費者庁が説明している経緯は、こうです。
令和6年7月以降、SNS等に表示される副業の広告をきっかけに、初心者でも簡単に稼げる、このプランなら月にこれだけが当たり前になる、儲けが出なければ返金保証がある、といった勧誘を受けてサポートプランを契約したものの、報酬が得られなかった。そういう相談が各地の消費生活センターに数多く寄せられていた。消費者庁が調査したところ、断定的判断の提供にあたる行為が確認されたため、消費者安全法38条1項に基づいて公表した。
消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」(令和7年6月26日公表)
もうひとつ、広島県消費生活センターが公表している相談事例です。
こちらも別の事業者の話です。
SNSで副業の広告を見て登録し、数千円の作業マニュアルを購入した。マニュアルには具体的なことが書かれていなかった。事業者から詳細は電話で説明すると言われ、かかってきた電話で、この副業にはサポートがついている、このプランに入れば確実だ、と高額なプランを提示された。お金がないと断ったところ、副業の儲けですぐ返せるから消費者金融で借りるよう指示された。そして支払った後、作業内容が最初に聞いていたものと違っていた。
広島県消費生活センター「スマホで簡単に高額収入を得られるという副業サイトにご注意ください!」
並べてみます。
| 公的機関が公表している型(別の事業者) | この記事で扱っている案件 | |
|---|---|---|
| 入り口 | SNSに表示される副業の広告 | SNSの広告 |
| 訴求 | 初心者でも簡単に稼げる/月◯万円 | スキマ時間で/スマホでかんたん操作/月+20万円を目指せる!? |
| 作業内容 | 具体的な説明がない | 「簡単な内容のスマホを使用したお仕事です」 |
| 費用の提示 | 広告段階では出てこない | 広告2枚に費用の記載なし |
| 次の接触 | 詳細は電話で説明すると言われ、電話が来る | 仕事の内容を説明する旨の電話 |
| 金額 | 電話の中で高額なプランを提示 | 電話の中で費用を提示 |
左の列は、消費者庁と自治体が公表している内容です。右の列は、この記事を読んでいるあなたが体験したことです。



似ているかどうか。それはあなたが決めることです。
私が並べたのはここまでです。同じだとも、違うとも書きません。それは私が決めることではないので。
ただ、ひとつだけ言えることがあります。
消費者庁のあの注意喚起は、相談が数多く寄せられたから出たものです。制度が先にあって守ってくれたのではなくて、困った人が窓口に電話をかけて、その件数が積み上がって、はじめて動いた。そういう順番です。
つまり、声を上げた人がいたから、あの文書があります。
あなたが今日消費生活センターにかける1本の電話は、あなたの案件のためだけのものではありません。同じ広告を見ている人のための1件でもあります。
消費者ホットラインは188です。局番なしでかかります。
すでに払ってしまった方へ
動くべき先も、期限も、支払った手段によって全部違います。まず、自分がどれで払ったかを確認してください。
該当するところだけ読んでいただければ大丈夫です。
銀行振込で払った場合
連絡先は2つ。振込先の金融機関と、警察です。金融機関には「振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結を相談したい」と伝えてください。警察は#9110(警察相談専用電話)から入れます。
振り込め詐欺救済法という制度があって、口座が凍結されれば、そこに残っている残高の範囲で分配を受けられる可能性があります。
逆に言うと、残高が抜かれた後では戻りません。制度があっても、お金がなければ分配のしようがないので。だから今日なんです。他の準備は全部後回しでいいです。
振込先が個人名義だった場合も、同じように連絡してください。名義がどうであれ、凍結の相談はできます。
クレジットカードの分割・リボで払った場合
カード会社に連絡してください。
割賦販売法に「支払停止の抗弁」という仕組みがあります。販売業者との間に問題がある場合に、残りの支払いを止められる可能性があるものです。
まだ支払いが続いているなら、止められるかもしれない部分があるということです。完済していない方は、ここを最優先にしてください。
クレジットカードの一括で払った場合
同じくカード会社に連絡してください。
一括払いは支払停止の抗弁の対象外です。ここは正直に書きます。ただ、同じ加盟店について申し出が集まると、カード会社側の対応が変わることがあります。あなた1人では動かなくても、記録が残ることには意味があります。
ローン・信販会社を通した契約の場合
契約書に信販会社の名前が入っているはずです。カード会社ではなく、そちらに連絡してください。
分割払いと同じく、支払停止の抗弁の論点が出ます。「副業の儲けで返せる」と言われて借り入れをした場合は、そのやりとりの記録も一緒に伝えてください。
暗号資産や電子マネーで払った場合
これも正直に書きます。戻る可能性は、他の手段と比べてかなり低いです。
それでも記録は残してください。送金先のアドレス、日時、金額、やりとりの全部。警察への届出と、消費生活センターへの相談は、それでも意味があります。件数は積み上がるので。



どれに当てはまるか分からない方は、明細を見ながら188に電話してください。窓口で整理してもらえます。
手段にかかわらず、全員に共通することが3つあります。
追加で払わないでください。
これは強く書きます。返金の手続きに費用がかかる、口座が凍結されたので解除料が必要、税金の立て替えが要る、あなたの操作ミスが原因なので修正費がかかる。こういう連絡は、支払った後に来ます。
払うと二重になります。返金のためにお金を払う必要がある制度は、存在しません。
いま、保存してください。
広告、案内ページ、LINEのやりとり、メール、契約書、申込みの控え、振込明細、決済画面、通話の日時のメモ。全部です。
「あとで撮ろう」がいちばん危ないんですよね。ページは消えます。LINEはブロックされます。
消えるときは、あっという間です。
「返金します」という連絡には乗らないでください。
支払った後に、別の業者から、あるいは別の名前で連絡が来ることがあります。あなたの被害を取り戻します、という話です。
そこで着手金を求められたら、それは二次被害です。公的機関が繰り返し注意喚起している類型なので、ここは疑ってかかって構いません。
正規の窓口は、消費生活センター(188)、警察(#9110)、弁護士会や司法書士会の相談窓口です。向こうから連絡してくることは、ありません。
弁護士・司法書士に相談する前に、自分で確認できること
ここから先は、私の領分ではありません。手続きの判断は弁護士や司法書士、消費生活センターの仕事です。
ただ、持っていく前に自分で確認できることがあって、そこは書けます。むしろ、確認してから行ったほうが話が早いです。
まず、大前提をひとつ。
「クーリング・オフは8日間」と覚えている方が多いと思います。その8日が、あなたに当てはまるとは限りません。
副業の勧誘には、特定商取引法にいくつかの類型があって、類型によって期間が違います。
この仕事を提供するので収入が得られる、という形で勧誘して、そのために費用を負担させる契約。これは業務提供誘引販売取引に当たる可能性があります。この場合の期間は20日です。
事業者側から電話がかかってきて、その電話の中で契約に至った場合。これは電話勧誘販売の論点が出ます。こちらは8日です。
どちらに当たるのか、あるいはどちらでもないのか。判断するのは私ではありません。ただ、8日だと思って諦めていた方が、実は20日の類型だったということは起こり得ます。



日数が過ぎている気がしていても、まだ読んでください。
そして、いちばん大事なところです。
期間は、契約書面を受け取った日から数えます。
支払った日ではありません。電話をした日でもありません。書面を受け取った日です。
ここから、あなたが自分の手でできることになります。
手元の契約書面を出してください。
出したら、クーリング・オフについての記載を探してください。
そして、それが赤い枠の中に、赤い字で書かれているかを見てください。



赤い枠と、赤い字。それだけ探せば大丈夫です。
特定商取引法は、書面の書式まで定めています。何を書くかだけでなく、どう書くかまで決まっている。赤枠・赤字はその一部です。
そこが満たされていない場合、それは記載事項の不備にあたる可能性があります。
そして書面が要件を満たしていない場合、クーリング・オフの期間が起算されていない、という主張ができる場合があります。
そもそも書面を受け取っていない場合も同じです。
つまり、カレンダー上で日数が過ぎているように見えても、終わっていないことがあるということです。
ついでに、こういう記載があるかどうかも見ておいてください。
- 契約の締結を担当した人の氏名
- 契約の解除に関する事項
- 割賦販売法に基づく抗弁権の接続についての記載
- 特定負担(あなたが払う費用)に関する事項
**あるかないかを見るだけでいいです。**内容の当否は窓口で判断してもらえばいいので。ないものは、ないと言えれば十分です。
期間が過ぎていても使える場合があります。
事実と違うことを言われて誤認した場合や、威迫されて困惑した結果クーリング・オフをしなかった場合。こういうときは、期間が経過した後でも可能とされています。
電話で言われたことと、実際が違った。断ったのに話が終わらなかった。そういう記憶がある方は、その内容と日付を書き出して、窓口で伝えてください。
書面を出すときの注意です。
記録が残る方法にしてください。特定記録郵便、書留、内容証明。メールなら送信済みを保存。フォームなら送信完了画面のスクリーンショット。
出したこと自体が争点になることがあるので、出した証拠のほうが、内容より大事になる場面があります。
この会社は、2026年6月5日に商号が変わっています。あなたの書面に書いてある社名が、いまの登記と違う可能性があります。書面を出す前に、宛先の社名を窓口で確認してください。これは自己判断で決めないほうがいい部分です。
持っていく先です。
消費者ホットライン188。局番なしでかかります。ここが最初の窓口です。
カードやローンが絡んでいるなら、そちらの会社にも並行して連絡してください。
弁護士会や司法書士会にも消費者問題の相談窓口があります。188で状況を話せば、どこへ行くべきか案内してもらえます。
持っていくときに、これを揃えておいてください。
- 契約書面(赤枠・赤字の有無を確認したもの)
- 支払いの記録(明細、振込控え、決済画面)
- 広告と案内ページのスクリーンショット
- LINEやメールのやりとり
- 電話の日時と、言われた内容のメモ
これが揃っていると、窓口での1回目が、事情説明ではなく相談から始まります。
まとめ
最初に書いたことに戻ります。
月にいくら入るかは、書いてありました。
いくら払うことになるかは、書いてありませんでした。
広告の2枚には、費用に関する記載がひとつもありません。作業内容もありません。報酬が発生する条件も、相手先の企業名も、1件あたりの単価もない。書いてあるのは、月+20万円を目指せる!? という一行と、簡単だという言葉だけです。
その状態で電話がかかってきて、そこで金額が出る。
これを設計と呼ぶかどうかは、私が決めることではありません。ただ、文字にせず口で言えば、比べられないし、残らない。それだけは、作る側にいた人間として書いておきます。
そして、記録のほうです。
この会社は、設立から1年経たないうちに本店を移し、2026年6月5日に商号を変えました。株式会社スキルペイという名前は、いま登記の変更履歴の中にあります。旧情報として。
商号を変えることは、まったく普通のことです。それ自体を問題にするつもりはありません。ただ、あなたの手元にある書面には、まだその名前が書いてあるかもしれない。だとしたら、照らし合わせる相手がいま何という名前なのかは、知っておいたほうがいいです。
置き書きというのは、去っていく人が残していくメモのことです。
登記は、残ります。変えることはできますが、変えた記録のほうは消えません。あそこに並んでいる日付は、誰かが片付けようとして残ってしまったものです。
まだ払っていない方へ。
電話の前に、何を買うことになるのかを、文字で出してもらってください。作業内容と、費用の総額と、報酬が発生する条件。この3つです。メールでもLINEでも構いません。
出てくるなら、読んでから決めればいいです。
出てこないなら、それが答えです。
もう払ってしまった方へ。
支払った手段を確認して、その窓口に今日連絡する。銀行振込の方は、他を全部後回しにしてください。
そのうえで、契約書面を出して、赤い枠と赤い字を探してください。
なければ、まだ終わっていない可能性があります。日数が過ぎているように見えても、です。
そこまでやったら、188に電話してください。



ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
最後に、ひとつだけ。
あなたが読み落としたわけではありません。
あの広告には、費用のことが書かれていなかった。書かれていないものは、どれだけ注意深く読んでも読めません。**質問の形で並んでいたのに、答えが入っていなかった。**あれを読んで内容が分からなかったのは、内容が入っていなかったからです。
私は、書類が揃っているのを見て安心してしまった人間です。あのとき私が見ていたのは、項目が埋まっているかどうかであって、中身が入っているかどうかではありませんでした。
だから、あなたが分からなかったことのほうが、正しかったんですよ。


関根綾
元広告代理店 / 副業広告リサーチャー
「この副業広告、怪しいかも…」
「登録しようか迷ってる…」
と不安になったら、私に教えてください!
- これって詐欺広告なのかな?
- うまい話に見えるけど本当に稼げる?
- 広告のプロの意見を聞いてみたい!
元広告代理店のプロとして分析した結果をお伝えします。
お金や個人情報を差し出す前に、まずは気軽にLINEで確認してみてください。











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